人間関係がいい職場をやめないほうがいいか迷うときのチェックリスト

人間関係がいい職場はやめないほうがいいのか、それとも人間関係がいい職場で辞めたいと思うなら転職してもいいのか、なかなか判断が難しいところですよね。

職場の人はみんないい人だし、上司にも恵まれているのに、仕事自体にはやりがいを感じられない、将来のキャリアが見えない、給料にもモヤモヤする。

そんな中で、人間関係がいい職場を辞めるのはもったいないのか、人間関係がいい職場から転職すると後悔するのか、不安がぐるぐるしている人も多いはずです。

私もこれまで、会社員時代やキャリア相談の場で「人間関係がいい職場はやめないほうがいいと言われるけれど、本当にそうなのか」「人間関係がいい職場から転職した人のリアルな声が知りたい」といった相談を何度も受けてきました。

あなたも「今の居心地の良さ」と「将来のキャリア」のどちらを優先すべきか、心の中でシーソーゲームが続いているのではないでしょうか。

さらにややこしいのが、家族や友人、ネット上の意見もバラバラだということです。

「人間関係がいい会社なんて滅多にないから絶対やめちゃダメ」と言う人もいれば、「合わないならさっさと転職したほうがいいよ」と後押ししてくれる人もいる。

どちらも一理あるからこそ、「結局わたしはどうしたいんだっけ？」と混乱してしまいやすいんですよね。

この記事では、仕事・転職情報まとめブログを運営している私、田中蓮が、人間関係がいい職場はやめないほうがいいのかどうかを、実際の相談事例やキャリアの考え方をベースに整理していきます。

読み終わるころには、「自分はどうするのが納得感ある選択か」がかなりクリアになっているはずですよ。

人間関係がいい職場はやめないほうがいい理由

ここではまず、「人間関係がいい職場はやめないほうがいい」と言われがちな理由を、心理面とキャリア面の両方から整理していきます。

なぜ多くの人がこのテーマで迷うのか、その背景を押さえておくと、感情に振り回されすぎず冷静に考えやすくなります。

あなた自身の状況を照らし合わせながら読んでみてください。

人間関係がいい職場で辞めたい心理

人間関係がいい職場で辞めたいと感じるとき、多くの場合は「人間関係以外のどこか」がしんどくなっています。

ここを切り分けられるかどうかで、その後の選択の質がかなり変わってくるでしょう。

たとえば、こんな声がよくあります。

つまり、あなたが本当に悩んでいるのは「人間関係」ではなく、仕事のやりがいや成長機会、働き方、お金、将来の見通しといった別の要素であることがほとんどです。

「人間関係はいいのに辞めたい」というギャップがあるからこそ、余計に自分を責めてしまったり、「これってわがままなのかな…」と罪悪感を覚えたりしがちなんですよね。

もう一つあるのが、「周りは良い人だけど、価値観や温度感が合っていない」というパターンです。

たとえば、みんな穏やかで優しいけれど、仕事への熱量はそこそこで、「もっとこうしたほうが良くない？」と提案してもあまり響かない。

あなたが変化や成長を求めているタイプだと、このズレがだんだんしんどくなっていきます。

人間関係がいい職場で辞めたいときは、「人間関係以外のどこに一番モヤモヤしているのか」を言葉にしてみると、自分が本当に変えたいものが見えてくるでしょう。

この整理がないまま「なんとなく飽きた」「もっと良いところがありそう」とだけ思って動くと、転職後に「人間関係は微妙だし、やりたい仕事でもないし…」という二重のしんどさにハマるリスクが上がってしまいます。

逆に言えば、モヤモヤの正体さえつかめれば、「転職すべきか」「今の職場で工夫できないか」がかなり判断しやすくなります。

人間関係がいい職場から転職は損か

「人間関係がいい職場から転職するのは損ですか？」という質問も本当に多いです。

結論から言うと、損かどうかは「何を軸にキャリアを考えるか」で大きく変わります。

同じ転職でも、人によって「成功」と感じるか「失敗」と感じるかが全然違うのは、この軸がバラバラだからです。

たとえば、次のような人にとっては、人間関係がいい職場から転職するのは損どころかプラスになることもあります。

一方で、こんな人にとっては、焦って転職するより今の環境を活かした方が良いケースも少なくありません。

転職サイトやエージェントの年収アップ事例は、あくまで「うまくいったパターン」を中心に紹介されています。

数字は一般的な目安であり、必ずしも自分にそのまま当てはまるとは限りません。正確な条件は公式サイトや求人票を確認し、最終的な判断は転職エージェントや専門家に相談しながら進めるのが安心です。

大事なのは、「人間関係がいい職場から転職すること」自体が損か得かではなく、あなたが大事にしたいものと転職で得たいものが合っているかです。

人から見て「もったいない」と言われても、あなたの価値観から見てプラスが大きいなら、その転職は十分アリですし、その逆もまた然りです。

人間関係がいい職場を辞めるのはもったいない

冷静に言うと、人間関係がいい職場は今の日本でそう多くありません。

口コミサイトや転職相談を見ていると分かりますが、多くの人が「上司ガチャ」「同僚ガチャ」に苦しんでいます。

厚生労働省の調査でも、仕事や職業生活のストレス要因として「仕事の量・質」と並んで「職場の人間関係」が上位に挙げられていて、人間関係に悩む人が一定数いることが分かります。
（出典：厚生労働省「労働安全衛生調査（実態調査）」）

だからこそ、人間関係がいい職場を辞めるのはもったいない、という感覚も決して間違いではありません。

特に次のような条件がそろっているなら、相当レアな環境と言えます。

こうした環境があると、日々の小さなストレスがぐっと減ります。

出社前に「今日あの人いるかな…」と憂うつになることも減りますし、分からないことを素直に「教えてください」と聞けるだけで、学ぶスピードもかなり変わります。

人間関係がいい職場を辞めるか迷ったら、「同じレベルの人間関係を次の職場でも再現できる自信があるか」という視点を一度持ってみるのがおすすめです。

もちろん、「人間関係がいいから我慢し続けなければいけない」という話ではありません。

ただ、感情的に「飽きたから」「なんかムカつくから」と勢いで辞めてしまうには、あまりにも惜しい資産であることは事実です。

いったん立ち止まって、「今の人間関係から学べること」「今の環境でしかできない経験」がないかも合わせて考えてみると、選択肢の幅が広がりますよ。

人間関係がいい職場にいる間に、コミュニケーションの取り方やフィードバックの受け方などを意識して磨いておくと、それ自体が転職後も役立つ武器になります。

人間関係がいい職場を辞めた後悔例

キャリア相談の場でよく聞く「人間関係がいい職場を辞めた後悔例」を、少しだけ紹介します。

リアルな失敗パターンから学んだ方が、同じ落とし穴にハマりにくくなります。

もちろんすべての人がこうなるわけではありませんが、「こういうリスクもあるんだな」と頭の片隅に置いておくと判断の精度が上がるでしょう。

後悔例1：給与だけを見て転職して人間関係で消耗

よくあるのが、「年収アップ」を最優先にして転職した結果、人間関係がギスギスした職場に入ってしまったケースです。

前職では、多少残業があっても周りが助けてくれて、ミスしても一緒にリカバリーしてくれる空気があった。

新しい職場では、成果第一で余裕がなく、ちょっとしたミスでも責められる、という環境の違いに衝撃を受ける人は少なくありません。

年収は確かに上がったものの、「毎日胃が痛い…」「人と話すだけで疲れる…」という状態になり、結局短期でまた転職を考えざるを得なくなるパターンもあります。

お金は大事ですが、「ストレスに見合うだけの金額か」「健康や家族との時間と釣り合うか」という視点もセットで持っておきたいところです。

後悔例2：やりたいことが曖昧なまま転職して迷子になる

「人間関係が良すぎてぬるま湯だから、もっと厳しい環境で自分を鍛えたい」と勢いで転職し、実際に厳しい環境に飛び込んだものの、「そもそも何を鍛えたかったんだっけ？」と途中で分からなくなるパターンもあります。

このケースでは、転職後に「前の職場の方が仕事の意味を感じられた」「あの安心感は実はかなり貴重だった」と気づくことが多いです。

厳しい環境自体が悪いわけではなく、「何を得たいか」が明確でないまま飛び込むと、ただ消耗してしまいやすいんですよね。

後悔例3：人間関係がいい職場を辞めたあと自信を失う

人間関係がいい職場では、上司や同僚があなたの強みを見つけてくれていたり、多少のミスもフォローしてくれていた可能性があります。

その土台があったからこそ、安心して仕事に取り組めていたところも大きいはずです。

そこから突然、競争色の強い組織に移ると、これまでのやり方が通用せず、「自分ってこんなにできなかったっけ…」と自己肯定感がガクッと下がることもあります。

うまくいかない原因が環境の違いにあるのに、「全部自分のせい」と抱え込みすぎて疲れてしまう人も少なくありません。

ここでお伝えしている事例は、あくまで相談現場でよく聞く一般的なパターンです。

転職の結果は人によって大きく異なるため、正確な条件や待遇などは各企業の公式サイトや求人票を必ず確認し、最終的な判断は専門家や転職エージェントにも相談してください。

こうした後悔を避けるためには、「今の職場に対する不満」と「新しい職場で実現したいこと」をできるだけ具体的にしておくことが大事です。

人間関係がいい職場で辞めるべきサイン

とはいえ、「人間関係がいいから絶対にやめないほうがいい」ということでもありません。

人間関係が良くても、積極的に転職を考えた方がいいサインも存在します。

ここでは、相談の中でも「これはさすがに動いたほうがいいよね」というケースを整理してみます。

特に気をつけたいのが、「人間関係の良さで、構造的な問題をごまかしてしまっている」パターンです。

たとえば、慢性的なサービス残業が当たり前なのに、「みんなで頑張ろう」「助け合いが大事だから」と良い人たち同士でカバーし続けているような状態ですね。

これは短期的にはなんとかなっても、長期的には誰かが心身を壊してしまう危険信号でもあります。

「今は楽だけれど、5年後10年後もこのままで大丈夫か」という時間軸で見たときに、不安が大きいなら、一度キャリアの棚卸しと情報収集を始めておくのがおすすめです。

人間関係の良さは「今の働きやすさ」を支えてくれますが、「将来の安心」まですべて保証してくれるわけではありません。

この2つを分けて考えるのが、冷静に判断するコツです。

人間関係がいい職場でやめないほうがいいかの判断軸

ここからは、「人間関係がいい職場はやめないほうがいい」のか、「それでも転職を検討した方がいい」のかを、自分で見極めるための具体的な判断軸をお伝えしていきます。

ふわっとした感情論ではなく、チェックリストに近い形で整理していきましょう。

人間関係がいい職場で続けるメリット

まずは、人間関係がいい職場で働き続けるメリットをあらためて言語化しておきます。

これが見えていると、「今の職場に残る」という選択肢にも自信が持てますし、転職を選ぶにしても「何を手放すのか」を理解したうえで動けます。

人間関係がいい職場は、「自分の弱さも含めて出しやすい場所」でもあります。

これは、スキルアップや挑戦をするときの土台として、想像以上に大きな価値を持ちます。

もし今の職場で、「多少失敗してもちゃんと相談できる」「上司にキャリア相談ができる」という状態があるなら、それはかなり恵まれた環境です。

その恩恵を受け切ったうえで転職するのか、それともまだ活かしきれていないのかを、一度立ち止まって考えてみてください。

たとえば、今の職場で任せてもらえる範囲を少しずつ広げてみる、新しいプロジェクトに手を挙げてみる、苦手な人ともあえて対話してみるなど、「人間関係がいいからこそ挑戦できること」も意外と多いです。

人間関係がいい職場でも辞めたいときの対処法

「人間関係がいい職場だけど、それでも辞めたい」という気持ちが強いときは、いきなり退職を決める前に、次の3ステップを試してみるのがおすすめです。

ここを飛ばしてしまうと、「勢いで辞めたけど、やっぱり戻りたい…」となりやすいので、少しだけ一緒に整理してみましょう。

ステップ1：モヤモヤの正体を言葉にする

ノートやメモアプリに、「何が一番つらいのか」「何に一番イライラしているのか」をざっと書き出してみてください。

仕事の内容なのか、評価なのか、働き方なのか、お金なのか、人によって焦点は違います。

ここで大事なのは、「上司が悪い」「会社が悪い」と感情的に書きなさい、という意味ではないことです。

そうではなく、「どんな状況のときにストレスを感じるか」「どんな言葉をかけられると引っかかるか」といった、具体的なシーンを思い出しながら書いてみてほしいんです。

たとえば、「毎月末の締め処理が一番しんどい」「評価面談のたびに、自分の頑張りが伝わっていない気がしてモヤモヤする」といったレベルまで分解できると、対処の打ち手も見えやすくなります。

ステップ2：今の職場で改善できる余地を探す

モヤモヤの正体が見えてきたら、「それは本当に転職しないと変えられないものか」を、自分と職場の両方の視点で考えてみましょう。

人間関係がいい職場であれば、あなたの率直な相談を受け止めてくれる可能性も高いはずです。

この「相談してみる勇気」を使い切る前に辞めてしまうと、もったいないケースも多いです。

ステップ3：それでも難しければ転職の準備を始める

改善の打ち手を一通り試しても変えられなかったり、自分の価値観と会社の方向性が明らかに合わないと感じるなら、転職の準備を進めてOKです。

いきなり退職届を出すのではなく、情報収集や自己分析からスタートするイメージですね。

このステップを踏んでおくと、「できることはやったうえでの転職」になるので、辞めたあとに「あのときちゃんと話しておけば…」という後悔がかなり減ります。

人間関係がいい職場でのモヤモヤの扱い方に悩むときは、職場でありがとうやごめんなさいを言えない人がいるケースを扱ったありがとうやごめんなさいを言えない人がいる職場の処方箋も参考になるかと思います。

人間関係がいい職場から転職すべきケース

逆に、「これはもう転職を本気で考えたほうがいい」というケースもはっきり存在します。

人間関係がいい職場からの転職でも、次のような条件がそろっているなら、前向きに動き始めてOKです。

ここでは、残ったほうがいいケースと比較しながら見てみましょう。

辞めないほうがいい職場	転職を考えるべき職場
業績が安定している	長期的に赤字・事業縮小が続く
昇給・昇進のルートが見える	何年いても給与レンジがほぼ固定
残業や休日出勤が常識の範囲	慢性的な長時間労働が改善されない
スキルの汎用性が高い	会社専用スキルばかりで市場価値が上がらない
会社と自分の価値観が大きくはズレていない	重要な判断のたびに「納得できない」と感じる

この表はあくまで一般的な目安ですが、右側に当てはまる項目が増えるほど、「人間関係の良さ」と引き換えに将来の選択肢を削っている可能性が高まります。

また、心身の不調が出ている場合は、迷わず自分の健康を優先してください。職場の人間関係は大事ですが、あなたの心と体があってこそのキャリアです。

退職時期や有給休暇の扱い、社会保険・税金などの扱いは、法律や会社の規定によって変わります。

正確な情報は必ず会社の就業規則や各種公式サイトで確認し、必要に応じて社労士や専門窓口に相談してください。

人間関係がいい職場を活かす自己分析

人間関係がいい職場にいる今だからこそ、じっくり自己分析をしておくのも大きなチャンスです。

追い詰められて転職せざるを得ない状況になる前に、自分のキャリアの軸を整理しておきましょう。

「いつ辞めても大丈夫」と思えるだけでも、心の余裕が全然違ってきます。

自己分析で整理しておきたい3つの軸

• 好き・得意の軸：どんな業務内容なら時間を忘れて取り組めるか、周りから「助かった」と言われやすいポイントはどこか
• 価値観の軸：仕事を通じて何を大事にしたいのか（安定・挑戦・社会貢献・専門性など）
• 生活の軸：どのくらいの収入や働き方があれば、無理なく生活を回せるか

この3つの軸が見えてくると、「今の職場はどこまで自分の軸と合っているか」「転職するなら何を変えたいのか」がクリアになってきます。

逆に、この3つが曖昧なままだと、「なんとなく良さそうだから」で会社を選びやすくなり、入社後のギャップも大きくなりがちです。

自己分析というと構えてしまうかもしれませんが、最初は簡単な振り返りでOKです。

たとえば、「今までの仕事で一番楽しかった瞬間」「一番しんどかった瞬間」をそれぞれ3つくらい書き出してみて、共通する要素を探してみてください。

それだけでも、「自分はどんな仕事だと力を発揮しやすいか」がだんだん見えてきます。

人間関係の悩みと自己理解の関係性については、50代の転職と生活設計を扱った仕事を辞めたら人生楽しすぎ？｜50代が幸せに再出発するための道筋でも触れています。

人間関係がいい職場はやめないほうがいいか見極める

最後に、「人間関係がいい職場はやめないほうがいいのか、それとも動くべきか」を見極めるためのチェックポイントをまとめておきます。

ここまで読んできて、なんとなく自分の中でも答えが見えつつあると思うので、軽くセルフチェックするつもりで見てみてください。

このうち「YES」が多いなら、人間関係がいい職場はやめないほうがいい可能性が高いです。

改善できるポイントは社内で工夫しながら、今の環境を活かしきる方向で考えてみてもいいかと思います。

逆に、ほとんどが「NO」で、「このままではまずい」という直感があるなら、情報収集と準備を始めるタイミングかもしれません。

人間関係がいい職場は、それだけで大きな資産です。

ただし、それに縛られてキャリアを諦める必要もありません。

今の環境でできることをやり切ったうえで、「残る」「動く」を自分で選ぶことが、後悔しない働き方につながっていきます。

最終的に大事なのは、「どの選択をしても、自分で選んだと言えるかどうか」です。

人間関係がいい職場はやめないほうがいいのかどうか、この記事があなた自身の答えを見つけるヒントになればうれしいです。

焦らなくて大丈夫なので、自分のペースでじっくり考えてみてくださいね。